
「旅館白水荘」が位置する杖立温泉は、川を挟んだ両脇に多くの旅館が立ち並ぶ。湯煙が立ち上るレトロな街並みも魅力的だ。背戸屋(せどや)と呼ばれる路地を冒険気分で通り抜けると「旅館白水荘」へたどり着く。リーズナブルな料金設定なので、観光でもビジネスでも気軽に訪れやすいのが嬉しいポイントだ。
白水荘
創業明治5年、約百年前の木造三階の建物。杖立温泉でも指折り老舗の温泉旅館のひとつ。


「旅館白水荘」は後進に引き継ぐことを視野に入れながら、スタッフの働き方改革を中心にさまざまなチャレンジを実施している。そのいくつかを紹介していこう。
01.


電子領収書の発行が可能な「Airレジ」を導入した効果は大きい。導入前は手書き領収書を使用していたため、お客様の夕食後に金額を計算する必要があった。手書きのため書き損じが生じたり、お客様都合による書き直しもしばしば発生する。
一方「Airレジ」はボタン操作一つでリアルタイムに対応が可能なため、資材の無駄を防ぐだけでなく、スタッフの業務効率も向上した。また領収書と照合しながら手書きで帳簿転記する作業もなくなり、結果的に経理業務も約5〜6時間の業務改善が可能となった。
02.




タオルや浴衣・歯ブラシ等のアメニティを有料化し、必要な物のみ購入するシステムを導入。中でも歯ブラシは環境に配慮したバイオマス(植物資源)商品を採用している。予約WEBサイトではアメニティの無料配布が終了した旨を明記しており、電話予約の際は口頭で案内している。その結果、約7割の宿泊客がアメニティを持参する結果となった。
メリットは環境面だけではない。アメニティを各部屋に補充する業務がなくなり、清掃スタッフの業務効率化にも繋がった。
03.


夕食は町内『就労支援センター陽なたぼっこ』の配食弁当を提供している。メニューは日替わりで、連泊者にも毎日楽しんで貰えるのが魅力的だ。
弁当の食べ残しがある場合、そのまま回収してもらう契約になっているそう。『陽なたぼっこ』は循環型農業に取り組んでいるため、回収された生ごみは堆肥に生まれ変わり、旅館内の生ごみ削減にも繋がっている。
04.


朝食はご飯と汁物・お漬物・飲み物類がセルフサービスとなっている。特にご飯はセルフサービスにすることで、おひつで提供する場合の食べ残しを防げる。お客様が食べたい量を提供し、旅館全体でフードロス削減に取り組んでいる。
夕食の配食弁当や朝食のセルフサービスを取り入れたことで、今まで4人のスタッフを配置していた朝食会場を1人で担当できるようになり、業務の効率化にも繋がっている。
05.


女将は大掛かりな電気使用量の削減にも取り組んだ。まずは電気の使用量測定器(ワットチェッカー)を使いながら、厨房に多数ある冷凍庫・冷蔵庫の電気使用量を調査したそう。
中でもプレハブ冷凍庫は15年近く使用している古いもの。かなりの電気使用量だったため、使用を停止すると、約15,000円/月の電気代削減に繋がった。現在は置き型(小型)タイプに切り替えて使用している。
06.


夕食は配食弁当サービスを利用しているため、厨房でよく見る「台下冷蔵庫」の使用も停止した。2台停止した結果、4,000円/月の電気代削減に繋がった。不要になった台下冷蔵庫は町内の方へお譲りし、現在はカフェで使われているそう。
飲み物が冷やされる「ガラスのショーケース」も3台使用を停止した。扉のゴムパッキンが壊れるほど旧型だったので、電気使用量も多く15,000円/月の電気代削減に繋がった。現在は省エネタイプの冷蔵庫へ切り替えている。
<さいごに>
「旅館白水荘」は多岐にわたるチャレンジを実践中だ。ひとつずつ着実に取り組むことで、相乗効果も出ていると感じた。
- 業務の効率化に取り組んだ結果、働き方改革へ繋がっている。スタッフは週休二日制で、シフトは午前の部・午後の部となっており、以前より拘束時間が短くなった。
- 夕食の配食弁当活用や朝食のセルフサービス導入は、フードロス削減に繋がっている。そしてスタッフの配置人数削減ができ、その効果は働き方改革へも寄与している。
- 電気使用量削減に取り組んだ結果、全体で約34,000円/月の経費削減へ繋がっている。それだけに留まらずCO2排出量の軽減、ひいては地球温暖化防止にも有効だ。




旅館 白水荘
〒869-2503
熊本県阿蘇郡小国町大字下城4217






