住民主導の地熱発電会社「合同会社わいた会」

阿蘇・小国町のシンボル「涌蓋山」の裾野に小さな温泉地があり、温泉蒸気が至るところから上がっているそこは岳の湯・峐(はげ)の湯である。その集落から少し離れたところから大きな蒸気が見える。わいた会が運営する「わいた地熱発電所」だ。

default

わいた会は、岳の湯組全30世帯で構成された住民主導の地熱発電会社であるが、住民は会社員、農業、牧畜、温泉旅館、日帰り温泉施設などそれぞれ仕事をしている。なぜ、住民は生業があるのに地熱発電会社を運営しているのだろうか?そんな合同会社わいた会を掘り下げてみる。

地熱で分裂、地熱で解消

90年代、大手ディベロッパーが今より10倍の規模にあたる地熱発電所開発に向けて調査・建設地取得を進めていた。開発をめぐり住民は、推進派と「地下資源の枯渇」などを危惧する慎重派と分裂してしまった。事業者も18年あまり調査や建設地取得にむけて動いてきたが、建設地を取得できず地熱発電事業を断念し撤退することとなった。

地熱開発で分裂した住民は尾を引き、これまで一緒に行ってきた地域の行事(野焼き、清掃、盆踊り、祭事など)が全員で行われなくなり、地域の活動がうまく回らなくなっていた。それは、地域の衰退を加速させるものであった。

2011年、地域の衰退を打開するため、推進派が動いた。推進派であった26世帯が地域最大のポテンシャルである地熱の活用で地熱発電所の建設に向け、わいた会を設立した。2015年に地熱発電所が稼働し、わいた会の理念に賛同した慎重派もわいた会に参加し全30世帯で運営する体制が整った。そこからわいた会のあるべき姿の発電が始まり、地域の行事も行われるようになった。

17年以上途絶えていた盆踊り(写真提供:わいた会)