時さん自然恵

時さん自然恵は、鹿やイノシシを中心に、アナグマ、キジ、鴨、鳩などの鳥類も扱い、質の良いジビエを提供している小国郷産獣肉解体卸販売の事業所です。


害獣駆除には、多くの課題があった。

捕獲した獲物の有効活用が十分に行われておらず、資源としての潜在能力を引き出すことができていなかった。それは、獲物の処理施設がないことも大きく影響している。

他にも高齢化が進む猟師たちの技術や知識を継承する若手が少なく、10年後には地域を守るための害獣駆除が維持できるかどうかが危ぶまれる。

持続可能な害獣駆除を実現するためには、関係者による課題解決への取り組みが不可欠となる。地域社会の未来を守るために、新たな仕組みや担い手の育成が求められている。


害鳥獣駆除
人里への被害を防ぐため、特定の鳥獣を数を減らすことが目的で生態系への影響を最小限に抑えるように行われる。被害状況に応じて、年間を通して行うことができる。
狩猟
鳥獣保護法に基づいて獲物を得ること、自然環境の保全などで行われる。種類によって定められた期間内にのみ行うことができる。

料理人と猟師だからジビエの味を知っている

元料理人である時松さんは、かつて仕入れていたジビエ肉の品質がよろしくないことに愕然としました。本来持つべき旨味が失われ、消費者にジビエの良くない印象を与えるかも知れない危機感から強い使命感を感じました。

また、熊本県北に狩猟で獲ったジビエ肉を処理する施設がないこともあり、鹿やイノシシの獲物は、猟師界隈でしか活用されていませんでした。処理しきれない獲物は、ただ駆除される(命を奪われる)だけでした。

自身も16年間猟師として活動していた時松さんは、この問題を解決するために、自らジビエ肉処理施設「時さん自然恵」を立ち上げることを決意しました。

2023年5月、時さん自然恵を開業し、鹿やイノシシを中心に、アナグマ、キジ、鴨、鳩などの鳥類も扱い、高品質なジビエを提供しています。

バランスが大事

小国町での狩猟は鳥獣被害対策という重要な役割を担っています。農業作物被害の減少に貢献している一方で、単なる駆除が唯一の解決策ではないと疑問を抱いています。

人間による土地開発などによって動物たちの住処が奪われていることが、山から里へ降りてくる原因の一つだと考えています。そのため、動物たちが安心して暮らせる環境を作り、人と自然が共存できる社会を目指す必要があると感じています。

高齢化が進む猟師業界 次世代へのきっかけ

多くの猟師が兼業で高齢化している現状を踏まえ、時さん自然恵は次世代への継承と地域共生の一助になればと考えています。

仕入れは、自らの手で獲った獲物と、地域の猟師から生きた状態の獲物を仕入れることにしています。死んだ獲物は品質が良くなく時さん自然恵では食用にできないため、基本的に断っています。

時さん自然恵のような処理施設があることにより、狩猟で得た獲物が報われることとジビエ肉がきっかけで新たな猟師が現れることを願っています。

廃棄物を最小限に抑え、資源を最大限に活用

時さん自然恵は、ジビエを丸ごと無駄なく活用することをモットーにしています。

食肉用として利用できるのは、イノシシが約4割、鹿は約3割です。食肉用にならない部位は、猟犬のエサとして活用されます。骨は出汁取り用に飲食店へ販売し、食用にできない内臓と革は、廃棄物を出さないよう工夫しながら、新たな活用方法を探求しています。

持続可能なジビエビジネスの未来:多角化と共存

時さん自然恵は、環境負荷を最小限に抑え、自然と共存しながら、高品質なジビエを提供することで、食の多様性と持続可能性を実現することを目指しています。

今後、加工品やペットフードの販売、完全予約制の飲食店展開など、多角化を進めていく予定です。

さらに、猟師の高齢化が進む中、新たな猟師の育成と地域共生を促進し、人と自然が共存できる社会の実現に向けて、時さん自然恵は挑戦を続けていきます。

時さん自然恵

熊本県阿蘇郡小国町上田 字五反4978−4