ふるさと熱電株式会社は地域共生型地熱発電に取り組む小国町のベンチャー企業だ。わいた会が住民主導で立ち上げた地熱発電所における運営、資金調達は、ふるさと熱電株式会社に業務委託しており、発電事業に加え、発電時に発生する熱湯を利用し配湯やグリーンハウスを行っている。
わいた会が地熱発電事業を行う上で欠かせないのが業務委託をお願いするパートナー企業だ。パートナー企業を選定するとき、3つの事業者が名乗りを上げた。地熱を掘り当てるところから選定は始まっている。ただ、地熱を掘り当てるのだけでなく、わいた会の目指すところを共感し共に歩んでいくことができる事業者がパートナー企業としての条件である。わいた会にとって適したパートナー企業と選定されたのがふるさと熱電株式会社である。
ふるさと熱電株式会社

「地域の”経済” ”資源” ”絆”のサスティナブル」を掲げているふるさと熱電は、2012年東京に本社を構え、2015年、わいた地熱発電所が商用運転を開始したその年に本社を小国町へ移転した。地域との関わりを大切にし、わいた会との協働をより円滑にする姿勢が伺える。
ふるさと熱電の社員のほとんどが全国から来ているが発電業務や農業は町民も業務を担っている。例えば、発電所の運転員においては7名の就労、グリーンハウス(温室ハウス)においては、住民2名を業務委託という形で業務を行っている。地熱発電所に関わる業務から働く場所を生み出していることは、田舎にとってはありがたいことである。
最重要項目である地熱発電所の商用運転を開始して、運用が安定した頃、地域創生にも力を入れ始め、地熱発電で発生した熱湯を還元井に戻す前に有効活用するため、グリーンハウス(温室ハウス)を通し、バジルやミントの栽培を行っている。
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ふるさと熱電株式会社 概要(2023.1.31時点) |
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会社名 |
ふるさと熱電株式会社 |
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設立 |
2012年7月4日 |
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本社 |
〒869-2501 熊本県阿蘇郡小国町宮原 2322-1 |
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地熱発電所 |
〒869-2504 熊本県阿蘇郡小国町西里 3075-1 |
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従業員 |
15名 |
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ホームページ |
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地熱発電
地熱発電所には、蒸気から発電するフラッシュ方式と熱水で発電するバイナリー方式で発電している。フラッシュ方式の発電は、国の固定価格買取制度(FIT)を通じて九州電力に売電し、バイナリー方式で発電したものはフラッシュ発電に利用している。

フラッシュ方式の発電は地下から湧き出る蒸気が直接タービンを動かし発電を行っている。発電に利用した蒸気は復水器と冷却塔を通って2次利用(バイナリー発電、温室ハウス)を終え地下へ還元している。その他配湯事業としてわいた地区全戸や、温泉旅館へ熱水を供給している。

フラッシュ方式発電の熱水を二次利用し発電している。
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フラッシュ方式 |
地下深部から蒸気を取り出し、蒸気のエネルギーを利用してタービンを回すことで発電する |
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運用開始 |
2015年 |
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年間発電量 |
1,400万kWh (一般的な家庭の使用量に換算すると3,900世帯分相当) |
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発電した電気 |
売電 |
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バイナリー方式 |
地下から取り出した蒸気・熱水を水よりも沸点の低い2次媒体を蒸発させタービンを回し発電を行う。 |
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運用開始 |
2020年 |
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年間発電量 |
ーkWh |
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発電した電気 |
フラッシュ発電に利用 |
モニタリング

地熱発電を行っている周辺には、生活の中に地熱を利用した民家、旅館や家族風呂など温泉施設が点在している。地熱発電には、これまで自噴していた地熱エネルギーより多くの蒸気を地下深くから取り出すことになる。そこで懸念されるのが温泉や蒸気が地熱発電の影響を受けて少なくなったり、枯渇するかも知れないという点である。
わいた会は、その懸念事項に早く対応できるよう、生産井と還元井を合わせた13ヵ所で温度、圧力、流量、EC、成分分析などのモニタリングを行っている。また、モニタリングの結果は、月に1回ふるさと熱電社員により報告を行っている他、常時スマートフォンなどでも閲覧できる。
万が一、モニタリングの結果で温泉などに影響を与える場合は、わいた会が地熱発電停止をする事が出来る裁量を持っている。
発電後のお湯の活用
地熱発電には発電後に熱水という副産物が生まれる。通常は、そのまま還元井を通して地下に戻すのだが、戻す前に熱水を配湯や温室ハウスなどで活用し二次利用している。
グリーンハウス(温室ハウス)

発電後に発生した熱水は100度あり、300mほど離れたグリーンハウス送られた時には75度くらいになっている。標高約700mに位置するグリーンハウスの冬の外気温は、最高で10度以下、最低でマイナス10度前後である。グリーンハウスの室温は機械制御により通年で20〜25度に保たれ、2016年ごろから農作物の生産試験を始めた。当初は、パクチーや空心菜などいろいろつくって2018年ごろにバジルやミントに落ち着いた。生産されたバジルやミントは、地元の飲食店や卸業者を通して全国に送られている。
















